高度専門職1号の基本要件と実務上の落とし穴(イ・ロ・ハの特性、足切り年収、年齢・学歴の重複ルール)
- みかん行政書士事務所

- 6月2日
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こんにちは。長野県長野市にある申請取次行政書士、「みかん行政書士事務所」です。今日からは在留資格「高度専門職1号」について取り上げたいと思います。
日本の出入国在留管理制度において、在留資格「高度専門職1号」は、優秀な外国人材の誘致と定着を目的に設計された、極めて優遇措置の多い在留資格です。この資格は、外国人が日本で行う活動内容に応じて以下の3つの区分に大別され、それぞれ異なるポイント表に基づいて審査されます。
「高度学術研究活動(1号イ)」:研究者・教授など
「高度専門・技術活動(1号ロ)」:技術者・企業の本社スタッフなど
「高度経営・管理活動(1号ハ)」:会社経営者・役員など
申請にあたっては、それぞれのポイント表で「合計70点以上」を獲得することが最低条件となります。しかし、実務においては単にポイントを足し算するだけでは見落とされやすい、「足切りライン」と「重複不可ルール」という致命的な落とし穴が存在します。
今回は、申請取次の現場で特にトラブルになりやすい3つの盲点について解説します。
1. どんなに高得点でも即不許可?「年収300万円」の足切りライン
高度専門職1号(ロ)および1号(ハ)の活動においては、算出されたポイントの合計がどれほど高得点(例えば80点や90点)であっても、主たる所属機関から受ける予定の年収が「300万円未満」である場合、一律で不許可となる「年収足切りライン」が設定されています。
【注意】二重構造の罠
この「300万円」という最低年収要件は、ビザの申請資格そのものを規定する前提条件です。ポイント計算における年収加点(例:1,000万円以上で40点など)とは全く別の、二重の構造として機能しています。
なお、学術研究を行う「1号(イ)」に関しては、この300万円未満の足切り要件が法令上明記されていません。しかし、実務上は(ロ)(ハ)の最低基準である300万円を意識した雇用条件を整備しておくことが、安定した許可取得には不可欠です。
2. 1日の遅れが命取りに。「年齢と年収」のスライド相関関係
実務において、申請時期の決定に最も直結するのが「年齢と年収の相関関係」です。 30歳未満の若年層は「年収400万円台」から10ポイントの加点を得られますが、30歳に達した瞬間に、年収による加点条件は500万円以上へとスライドします。
年齢スライドの具体的な定義と、実務上の留意点は以下の通りです。
【年齢・年収スライド対応表】
年齢区分 | 年収加点の最低対象額 | 加点ポイント範囲 | 年齢に起因する実務上の留意点 |
30歳未満 (29歳以下) | 年収400万円以上 | 10点 〜 40点 | 最も低い年収でポイントを獲得可能なため、30歳の誕生日を迎える前の申請手続き完了が極めて有利となります。 |
30歳以上35歳未満 | 年収500万円以上 | 10点 〜 40点 | 30歳に達した時点で、年収400万円台の申請者は年収による獲得ポイントが「0点」へ転落します。 |
35歳以上40歳未満 | 年収600万円以上 | 10点 〜 40点 | 中堅実務家として相応の給与体系が求められ、年収600万円未満では年収加点が受けられなくなります。 |
40歳以上 | 年収800万円以上 | 10点 〜 40点 | 年齢ポイント(最大15点)を喪失するのみならず、年収800万円未満では年収による加点も一切得られません。 |
「あと数日で誕生日を迎えてしまう」という状況で、対策を講じずに申請をまたぐと、一瞬にして70点を割り込み不許可となるリスクがあります。タイミングの計算は絶対的な重要性を持ちます。
3. 学歴ポイントの誤解。「重複不可ルール」と「5点ボーナス」
学歴評価における重複ルールの誤認も、実務で頻出するミスの一つです。学歴ポイントは「最終学歴のみ」を採用するのが大原則です。例えば、日本の大学院で「修士号」を取得した後に「博士号」を取得した場合、両方を持っているからといって単純合算(修士20点+博士30点=50点)することはできません。この場合は、最高位である「博士(30点)」のみが適用されます。
ただし、例外的に以下のケースに該当する場合は、ベースとなる学歴ポイントにそれぞれ5点ずつ特別に上乗せ(加算)することが許容されています。
① 複数分野における修士・博士学位(5点加算)
専攻分野が異なる複数の修士・博士・専門職学位を取得していることを、学位記や成績証明書等で証明した場合に加算可能です。
※注意:3つ以上の異なる学位を保有していても、加算されるのは一律5点限りです。
② MBA・MOT加算(5点加算)
高度専門職1号ロ・ハの活動類型を対象とし、経営管理に関する専門職学位(MBAやMOT)を取得している場合、基本学歴ポイントに5点(あるいは専門職学位単独として25点)を取得することができます。
※注意:高度専門職1号イ・ロの申請において、最終学歴を「博士(30点)」として申請する場合は、このMBAボーナス(5点)の重複加算は認められないという実務上の運用ルールがあります。
【当事務所からのメッセージ】
高度専門職ビザの申請は、一見すると「ポイントの自己採点」だけで判断できるように思えます。しかし、今回ご紹介したような、
年齢スライドによるポイント急落のタイミング確認
契約年収に含まれる手当・ボーナスの正確な算定
複数学位やMBA加算の適用可否の法的な見極め
など、実務的な「落とし穴」を回避するためには、入管法と最新の審査傾向を熟知した専門家による事前の精査が不可欠です。
当事務所では、申請取次の専門行政書士として、個々のキャリアや雇用条件に合わせた最適な申請タイミングと立証書類のご提案を行っております。現在のポイント計算に少しでも不安のある企業担当者様、外国人材の皆様は、手遅れになる前にぜひ一度ご相談ください。




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